高粘度バインダーと粉末の均一混合
お客さまのお悩み
高粘度バインダーと粉体の撹拌
放熱セラミックス部材の研究・開発に携わっています。扱う材料は、アルミナや酸化チタンなどの粉体と、各種の樹脂バインダーです。
材料の撹拌は基本的に手撹拌していたのですが、高粘度バインダーに大量の粉体を混ぜ合わせる条件で、ほとんど成果を出せずにいました。粉体は凝集性があるため、少量であっても均一に混ぜることが難しいのです。粉体の添加量が多くなればなるほどバインダーが増粘するため、ダマが残ってしまうことがよくありました。バインダーを改めて加えて再撹拌しても、自分たちが理想とするスラリーには程遠い状態でした。
撹拌前に粉末をふるいにかけることで、見た目にはダマが目立たなくなったこともありましたが、再現性がありませんでした。
開発製品に則した、一定量での評価・検証で成果を出すことが目的なので、粉体の量を減らすことはできません。均一撹拌の課題は、スラリーの調整精度の課題に直結しています。
粉体を高粘度バインダーに一定条件で調合できなければ、目標とする製品の品質に到達できません。現状のやり方を根本から変える必要があり、最適な解決策を日々探していました。
シンキーと解決!
プロペラレス混和方式への期待と、驚きの結果
撹拌装置の導入を検討し、まず試したのはプロペラ式攪拌機でした。
粉体を入れて増粘したバインダーではプロペラに材料がまとわりついて離れず、手撹拌より精度は高いものの均一な仕上がりにはなりませんでした。
また、使用後のプロペラ洗浄に時間がかかり、材料のロスも多いため、プロペラ式攪拌機では狙った成果が得られないという結論に至りました。引き続き他の撹拌装置の情報収集をしていた時、プロペラ式とは全く異なるプロペラレス混和方式の自転・公転ミキサー「あわとり練太郎」を発見し、シンキーに相談してみることにしました。
「あわとり練太郎」は「自転と公転の組み合わせで、400Gもの強力な遠心力を実現」、「容器内の材料に対流が生じ、高粘度のバインダーと凝集しやすい粉体の組み合わせでも均一分散が可能」との説明を受け、期待が膨らみました。また、容器に入れた材料を遠心力のみで混ぜるため、撹拌後のプロペラ洗浄が不要で、材料のロスを最小限にできるということで、早速デモをお願いしました。
デモでは、手撹拌できなかった大量の粉体を用いる条件を試しました。すると、今まで数時間かけても満足いく状態にならなかったものが、わずか数分で均一なセラミックススラリーになったのです。これには大変驚きました。そればかりか、材料条件に応じた装置の設定をメモリに登録できるため再現性も高く、ARE-310(大気圧タイプ)の導入に至りました。
・お客様の了解を得て掲載しています。