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あわとり練太郎と辻田漆店‐伝統技法と撹拌機の融合‐後半

インタビュー 2025.07.18

あわとり練太郎と辻田漆店‐伝統技法と撹拌機の融合‐後半

以前配信いたしました前半記事では、福井県越前市の辻田漆店様を訪問し、ワークショップを通じて漆の魅力に触れるとともに、その歴史や伝統的な技法について学びました。漆は、古くから日本の工芸品に欠かせない素材であり、その製法や技術は代々受け継がれながら、現代のニーズに応える形で進化を続けています。
辻田漆店様では、「手グロメ」と呼ばれる伝統技法を守りながら、最新技術も積極的に取り入れている点が印象的でした。

後半記事では、漆に対するこだわりに焦点を当て、漆がどのように扱われて高品質な製品へと生まれ変わるのかをご紹介します。また、あわとり練太郎との出会いについてもご注目ください!

漆の選び方とその種類

辻田漆店様工場/漆作りの様子

辻田漆店では漆の選定において、輸入方法や品質にこだわり、また、その性質に応じて製法や組み合わせ方を工夫しています。
日本産の天然漆に加えて、中国産漆も取り扱っています。日本産漆は、主に岩手県二戸地域(浄法寺漆)、茨城県(大子漆)で採取されており、時期や漆搔き職人の技術的個性によって性質が変わります。日本産漆の特徴は、甘酸っぱい独特の臭いとサラッとした柔らかさ、硬化した時の漆の強度です。その特長を活かすため、弊社では日本産漆の精製は全て手グロメで行います。
中国産漆は、その広大な地域に漆が生息しているため、採取場所によって大きく特長が異なります。年々価格は高騰しておりますが、日本産漆に比べるとまだまだ安価で、国内で消費される漆の90%以上が中国産漆です。

引用元:漆の種類 | 辻田漆店

採取した漆は、そのまま使用する「生漆」と、それを加工した「精製漆」として用途に応じて使い分けられます。生漆は、採取された時期や場所によって特性が違い、独特の香りと粘り気があります。一方で、精製漆は、攪拌と漆の中の水分を調整することで色味や粘度、乾き方が違い、塗装に適しています。また精製漆に顔料や染料を加えることで色とりどりの表現が出来ます。
漆器によく見られる黒漆は、精製漆に鉄分を加えたもので、酸化反応によりまさに「漆黒」の深い黒が表現出来ます。

歴史ある工場と漆の精製工程

漆の精製工程

漆のこだわりをお伺いした後、実際に精製を行っている工房へお邪魔させていただきました。
工房は150年以上前から使われ続け、歴史ある製造機が幾つも並んでおり、種類によって機械を使い分け高品質な漆を作っています。この製造機は輪島の档(アテ)の木で作られており、湿気にも強く、耐久性に優れています。その桶を作られた職人さんは既に引退されているので、辻田漆店の製造機が最後の作品となります 。
製造機へ漆を入れ、撹拌しつつ電熱器を使い水分を飛ばしていきます。撹拌することを「ナヤシ」といい、水分を飛ばすことを「クロメ」といいます。クロメを行った漆は続いて「ツケ」の工程に移ります。漆の水分量を確認するため透明な板へ漆をツケ、透け度を確認します。とても大事な工程の為、最適な水分量になるまで繰り返し評価します。見せて頂いた生漆は「毛埧(モウポ)」という中国産の漆になります。香りが独特で、粘度が高く、味(ウルシオール)が多いのが特徴的です。薄茶色の見た目ですが、初見から見終わるわずか数分の間にも色が濃く、硬く変化していく様子が確認できて驚きました。
また、辻田漆店様の工場では150年もの月日をかけ、よりよい漆を作ろうとした歴史がいたるところに刻まれています。1番印象的だったのが、作業スペースです。漆の色が色とりどりにハケに付着しまるでアートのような色合いになっています。

あわとり練太郎と精製色漆

あわとり練太郎を用いた精製色漆

続いて伝統的な辻田漆店とあわとり練太郎の関係性についてご紹介いたします。辻田漆店では、精製色漆の精製工程で、あわとり練太郎を導入しております。通常、精製色漆の色付けには3本ロールミルを使用しておりますが、近年では業者だけでなく、個人のお客様からも少量の精製色漆の依頼をいただくことが増えてきました。このような需要に応えるため、弊社では少量でも高品質な漆を提供できるように導入しました。あわとり練太郎は、少量の材料を均一に攪拌することに特化しています。そのため、漆の成分をしっかりと混ぜ合わせることができます。少量であっても、品質が損なわれずに、お客様の多様なニーズに柔軟に対応できるようになりました。現在、50gや100gの精製色漆を作る工程にも、あわとり練太郎を使用して作っています。

あわとり練太郎との出会い

辻田漆店様の工場でご使用中のあわとり練太郎/ARE-310

あわとり練太郎との出会いは、工業試験場でのことでした。それまで、量産を前提に色漆を作っていましたが、少量の依頼が少しずつ増えてきました。しかし、色漆の精製には三本ロールミルを使用しているため、少量の精製には向いていません。どうすれば依頼にお応えできるか悩んでいた際、工業試験場の方へ相談したところ「あわとり練太郎」を紹介されました。漆の精製の実績はなかったものの、試してみる価値があるかもしれないということで、実際に使ってみると、あわとり練太郎は、少量の精製にも対応できる機能を持っていたので、難しかった依頼にも応えることができるようになりました。あわとり練太郎を導入することで、作家さんたちの希望に応えることができ、表現の幅が広がったと感じています。

まとめ

漆について学ばせていただき、非常に貴重な経験となりました。普段訪れることができない伝統的な空間に終始驚きが隠せず、辻田漆店さまの長い歴史や、代々受け継がれた技術によって進化してきたかを知ることができました。漆の色が変化していく様子や、その香り、粘度など、漆の成分に対する深いこだわりが改めて感じられました。そんな素敵な伝統にあわとり練太郎が携わることができ大変うれしく思います。辻田様このたびは大変ありがとうございました。


会社名:有限会社辻田漆店
所在地:〒915-0261 福井県越前市朽飯町22-24(Googleマップ)
代表:辻田 知彦
TEL:0778-42-1034 FAX:0778-42-0030
事業内容:日本産漆・中国産漆の精製販売を専門とする各種類の精製漆・生漆・漆に関する副材料品を販売
ウェブサイト:https://tujita.co.jp/

千年未来工藝祭 2025年8/30(土)-31(日) 出展(ウェブサイト:https://craft1000mirai.jp/)
NIVI PLATE
・金継ぎセット等の展示、販売

RENEW/2025 2025年10/10(金)-12(日) 出展(ウェブサイト:https://craft1000mirai.jp/)
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