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ユーザーインタビュー~JAXA 堀教授に聞く~

2016/07/14

インタビュー

ユーザーインタビュー~JAXA 堀教授に聞く~

1.堀先生の研究概要を簡単にご紹介いただけますか?

JAXA 堀教授1
ロケット用の燃料の研究が中心です。化学、燃焼が専門分野ですが、主に固体燃料(固体推進薬)用の新しい高エネルギー物質の燃焼について研究しています。

2.現在手がけている研究の一つをご紹介いただけますか?

従来、固体燃料に使っている高分子ゴムは熱硬化性のゴムで、材料に硬化剤の化学物質を添加して温度をかけると一定時間で固まる(ゴム状になる)という性質を持っていますが、一旦固まってしまうと元には戻りません。そのため、製造の工程管理が非常に厳しく、ミスを許しません。それが一つの高価格体質につながっているとも言えます。

そこで、熱可塑性の樹脂を使うことにより、固体燃料の低コスト化が図れないかと考え、その基礎研究を行っています。熱可塑性樹脂ですから、室温では固まっていて、高温にすると溶けてドロドロになるのですが、繰り返し成型できる(一度溶かして成型し、また溶かして成型するといったことが可能。そして余った樹脂は次回に使うことができる)というのが、熱硬化性樹脂と違う利点です。

では、なぜそれで低コスト化ができるのかというと、少量で連続生産ができ、作り置きが可能になることによります。少しずつ作って貯めておいて、最終的にそれを溶かして大きなロケットモーターに充填して使えるので、将来的には大規模な製造設備が必要なくなります。現状は、大きな製造設備があって、大型ロケットを製造する時に一気に使って休ませ、次の時にまた一気に使うというようにパルス的(間欠的)に使用しています。これは、ロケットの需要が少なく年に数回程度しか使わないためです。

前述したように熱可塑性樹脂を溶かすには温度をかける必要がありますが、その温度をどうコントロールするかは工程管理の一つのポイントになります。シンキーのミキサーは、回転数によって温度を制御するのが容易でした。また、燃料を混和する時にもう一つ重要なことは、材料中に泡が入らないということです。従来のミキサーですと、真空ポンプで長時間かけて減圧してから混ぜるのですが、シンキーのミキサーでは、自転と公転の二つの力と真空の相互作用により、短時間で泡が抜けるので、時間短縮が見込め、コストダウンに繋がると思います。

※堀先生のプロジェクトで使用されている製品は、ロケット燃料の材料に対応するために安全性を高めた特別仕様のものになります。

3.先生がロケット、そして燃焼の研究分野に進まれたきっかけはなんでしょうか?

うーん、ロケット好きだったということでしょうね。アポロ宇宙船が有人で初めて月に着陸したのが小学校5年生の時だったのですが、そのニュースが非常にショッキングでロケットの世界に進んでみたいと思いました。そして理科系が好きだったので、化学の分野に進んだのですが、化学の人間としてロケットに貢献できるのは燃料の世界でした。

4.ロケットに夢とか浪漫を感じる方も多いと思いますが、実際にその世界に従事している中で感じることはございますか?

夢があるというのはよく言われますが、正直、「はやぶさ」の時はこんなにうけるのかとびっくりしましたね(笑)。そして、「イプシロン」の初号機の時にもあんなに注目を浴びるとは思いませんでした。「はやぶさ」はうけたかもしれないけど、まさか「イプシロン」の時もそうなるとは全く思っていなかったので、非常に注目度が高くて驚きました。それと、女性も宇宙好きな人が多いと感じます。息子を宇宙の研究者にしたいのだけど、どうすればいいんですか、なんていう質問もよく受けます。

5.海外から留学生や研究者を積極的に受け入れたり、先生が海外の大学に行って教えたりもしていらっしゃいますね。

昨年からカザフスタンの大学で教えています。向こうの博士課程は外国人のスーパーバイザーを置くのが必須なのですが、昨年ヨーロッパ人の大御所が引退したので、私にお鉢が回ってきました。それと、今年から、ロシアのトムスク州立大学の教授にも就任しました。

6.先生にとって、研究の魅力はなんでしょうか?

おかしな言い方かもしれませんが、「変な性質」を発見した時に魅力を感じますね。ありきたりな、既存理論に則っているような現象ばかりだとつまらないですね。この式とこの式を使って説明して、はい終わり、じゃなくて、困ったなと思うくらい変な現象が出てきた時に、なんでこんなレスポンス(反応)を示すのだろうと考える時間は楽しいですね。それに解を与えられた時は嬉しいですし、良い研究になったと感じます。

7.先生にとっての燃料の魅力はなんでしょうか?

基本、燃えないとロケットは飛ばないので、そういうところでしょうか。「必要不可欠」だという点ですね。

8.ロケットが飛び立つ瞬間はわくわくしますか?

そうですね。わくわくもしますが、緊張が一番です。

9.堀先生の夢はなんでしょうか?

直近では、上記の燃料とは別に手がけている、人工衛星の軌道制御などを行うスラスタという装置が衛星に搭載されようとしていますので、それがどんどん広がっていけばいいなと思います。やっぱり私は燃料屋ですから、自分の考えた燃料を使ったロケットが飛翔までいけば嬉しいですね。
JAXA 堀教授2


堀先生、貴重なお話をありがとうございました。
熱可塑性樹脂を使った固体燃料のプロジェクトは、元宇宙科学研究所所長で糸川英夫教授の教え子でもあった秋葉鐐二郎氏、イプシロン プロジェクトマネージャの森田泰弘教授と共に取り組まれています。今後の研究成果に期待致します。

自転・公転真空ミキサー「あわとり練太郎」ARV-310の詳細情報
http://www.thinky.co.jp/products/item-all/vacuum-mixer/arv-310.html
photo_arv-310
※堀先生のプロジェクトで使用されている製品は、ロケット燃料の材料に対応するために安全性を高めた特別仕様のものになります。

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堀 恵一 教授 略歴

昭和57年 3月東京大学工学部反応化学科卒業
昭和59年 3月東京大学工学系大学院反応化学専門課程修士卒業
昭和62年 3月東京大学工学系大学院反応化学専門課程博士卒業 工学博士
昭和63年 4月日本学術振興会特別研究生(PD)
平成 3年 6月宇宙科学研究所助手
平成11年 4月 宇宙科学研究所助教授
平成21年 4月 宇宙科学研究所教授(現在に至る)

ISAS/JAXA 宇宙科学研究所 堀・羽生研究室
http://www.isas.jaxa.jp/home/propellant/index.html

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