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ユーザーインタビュー~産業技術総合研究所 遠藤様~

2017/11/01

インタビュー

ユーザーインタビュー~産業技術総合研究所 遠藤様~

今回は、セルロースナノファイバーの権威である産総研中国センター(広島)の遠藤グループ長のインタビューをお送りします。セルロースナノファイバー第3弾とも言える今号も、遠藤先生の面白い話が満載です。

1.2012年にARE-310を、その後、同機種をもう1台ご購入いただきましたが、増設された理由はなんだったのでしょうか?

使用頻度が比較的高いのと、ちょうど手頃な値段とサイズだったこと、そして使い勝手が良かったことですね。

2.最初はどのようにあわとり練太郎をお知りになったのですか?

共同研究をしている自動車部品会社の課長さんから、スラリー状のゴムなどを混ぜる時に練太郎がいいですよと紹介いただいたのがきっかけです。その時はまだ練太郎の存在を知りませんでした。

3.使ってみていかがでしたか?

研究の中でセルロースのような繊維状のものを混ぜる工程が常にあり、セルロースをゴムや樹脂に混ぜる際、スターラー等の羽根付きの装置で混ぜるとダマができてしまうのと、泡立ってしまうのが悩みの種でした。それで、超音波ホモジナイザーで分散させたり、色々と試していた時に、練太郎を紹介され、満足のいく結果が得られました。

セルロース材料グループの研究員、熊谷さん。

4.きれいに混ぜるのと、泡をとるという両方の問題が同時に解決されたのですね。現在は遠藤先生が紹介する側になってくださっていますね。

共同研究先の方達がここにある練太郎を使って、自社分を購入されるケースもあります。

5.ありがたいことです。ところで、先程、廊下の展示コーナーで靴を見かけたのですが、ゴム底にセルロースナノファイバー(以下、CNF)が使われているのですか?

あれはスポーツシューズで、靴底のゴムにCNFを添加して軽量化しています。マスターバッチを練太郎で作りました。

樹脂の粉末にCNFを混ぜるのにも使っています。CNFでゴムとかプラスチックを補強するという研究テーマがあり、樹脂の粉末にCNFを均一に分散させた状態で熱をかけて溶かします。

樹脂の補強というテーマでは、国が100億円の予算を計上しています。国として一番力を入れている用途は自動車のボディーですが、我々は内装材や靴といった違う切り口で取り組んでいます。

CNF強化靴底(右)と、シリカを配合した従来品

6.遠藤先生がCNFを研究しようと思った最初のきっかけは何ですか?

出身地が広島に近い山口県なので、広島大学でドクターまで取ったのですが、大学での学位のテーマは、植物の中で香りの成分がどのように生合成されるかというものでした。その後、産総研の前身である工業技術院に採用され、四国工業技術試験所(香川県高松市)の紙パルプの研究室に配属されました。そこで上司からの指示で、まずセルロースの細かい粉を作るのをテーマとしてやることになりました。ただ粉を作るだけでは面白くないので、そこに樹脂を入れたらどうなるかと考えたのが、セルロースと樹脂の複合材料のスタートでした。現在、研究しているCNFは究極に細かいものですが、やっていることは当時と変わりません。私は元々セルロースが専門ではなかったので、初めのうちは苦労しました。正直、最初の1年は悶々として過ごしました。大学の頃はどちらかというと “ファイン” 分野をやっていたのに、いわゆる泥臭い研究になったこともあり、やめようかと思ったこともありました。2年目に、このままではまずいと奮起し、短期間ですが東大の磯貝先生(磯貝明教授。2015年に森林分野のノーベル賞と言われる「マルクス・バーレンベリ賞」をアジアから初めて受賞。TEMPOという触媒で木材からセルロースを簡単に取り出す方法を発見した)のところに内地留学をさせてもらいました。24年前のことです。磯貝先生は当時まだ助手でしたが、セルロースの分野では色々と新しいことをされていて、既に有名な方でした。

東大では、何かをやったというよりは、知り合いが増えたのが一番の収穫でした。実験をやっていると、教授の先生から「遠藤君、今から銀座に映画を観に行こう。」とか「ちょっと一杯飲みに行こう。」とか誘っていただいたものです(笑)。当時、東大のセルロース分野にいらした有名な先生や若手の先生の人脈が今でも役に立っているように思います。

そして10年前に高松から広島に移りました。当時、バイオエタノールがブームで、我々もNEDO(新エネルギー・産業技術総合開発機構)の予算を獲得して取り組みました。木を細かくして表面積を上げ、酵素分解性を向上させるという産総研独自の方法(水熱・メカノケミカル処理技術)を用い、非常に良い結果を出すことができました。恐らく他では真似できない、且つ一番低コストでできる方法だったと思います。

バイオエタノールやナノファイバーに携わりながら、ずっと複合材などの材料系をやってきました。私の研究の基本は、「粉砕をして細かいものをつくる」ということです。3年前、学会の賞をいただいて、受賞講演をした際にお話ししたのですが、私の自慢は25年間全くぶれずに同じことを続けているということです。対象は「セルロース」、方法は「粉砕」、それで25年間やってきました。研究費を十分取得できたからこそ可能だったのかもしれません。一緒にやってきた仲間のお陰だと思っています。

7.今後の研究の展望をお聞かせください。

今年の我々のグループのコンセプトは、「五感に響く技術開発」です。プラスチックを補強するというのは、一つの出口としては良いけれど、強度を主ターゲットとするのではなく、「色」、「意匠性」といった「見た目」を大事にした研究開発を行っています。作り手側がいくら「すごく高強度だ」という品質の良さを訴えても、買い手は「きれいだ」といった「見た目」で選ぶものだと思いますので。例えば、コップを買う時に、「食洗器でも傷つかない」と書かれていたとしても、デザインが気に入ったほうを選ぶ人がほとんどでしょう。見た目というのは商品の魅力を決定づけるのにすごく重要な要素なのです。その他、手触りや香り、音質等、五感を意識した研究開発を心がけています。今は食品系の研究所とも共同研究しているので、五感の中の「味覚」も重要ですね。

我々のもう一つのコンセプトは「太めのナノファイバーで、しっかり目的性能を出す」というものです。太ければ価格を安くできます。今、世の中では数nmとか10nmとか、細さにこだわっているから高いのです。ミクロン、サブミクロンサイズでも十分性能が出ると実証できれば、値段が下がり、もっと普及する可能性があると思っています。この考え方を企業の方に話すと「目から鱗です」と言われます。

産総研の標榜は「技術を社会へ」ですが、これは私の好きなコンセプトです。大学と違って社会で生きる技術を研究する必要があると思っているので、いつもこれは本当に工業化できるのかを考えながら研究するようにしています。

◆実験室での遠藤先生と熊谷さん。◆
実験室には沢山の装置が並んでいます。ここに共同研究先の方達も実験に来て、多い時には数十名が部屋の中にいることもあるとか。現在は20社程と共同研究されているそうです。

実験室での遠藤先生と熊谷さん。

愛媛県と行っているみかんジュースの研究。 みかんの廃棄物からCNFを取り出しジュースに添加することにより、きれいに分散され、沈殿が起こらないみかんジュースができます。沈殿していると劣化している印象を与えるため、その改善が目的とのこと。実際に見ると感動的でした。

ジュースの研究

ナタデココや、スーパーフードとして話題のチアシードも、実はセルロースだそうです。そう考えると、身近なものですね!

ナタデココや、スーパーフード

他にも、セルロースを原料とした化粧品(固形ファンデーション)の開発もされています。セルロースは油を吸うため、皮脂の油を吸着して化粧崩れを防ぎ、毛穴を目立ちにくくするそうです。これは既に市販されていて、国内外でかなり売れているとか。その話を聞き、早速後日、デパートで購入してみました(笑)。
※現在はコンパクトのデザインが少し変わっています。

セルロースを原料とした化粧品

遠藤先生が過去に開発された製品、現在開発中の製品は他にもたくさんあります。 今後のご活躍、そして業界の動向が楽しみですね。


あとがき
2010年に呉市から東広島市に移転された産総研中国センター。とてもきれいな建物でした。
遠藤先生は今でも呉の大和ミュージアムの科学クラブで年に1回子供向けにボランティアで講師をされているそうです。講演活動も積極に行われており、昨年は2週間に1回講演をされていたとのこと。訪問時は、多岐にわたるお話を聞かせて頂き、その後、実験室も丁寧にご案内くださいました。気がつけば4時間近くも滞在していた私達。遠藤先生、本当にありがとうございました。


<遠藤 貴士様 略歴>
◆略歴
1992年 (平成4年) 広島大学大学院理学研究科博士課程修了[博士(理学)]
1992年 (平成4年) 通商産業省工業技術院四国工業技術試験所(香川県高松市)入所
2001年 (平成13年)組織改革により独立行政法人産業技術研究所 主任研究員
2005年 (平成17年)同所 バイオマス研究センター(広島県呉市)
水熱・成分分離チーム 研究チーム長
2012年 (平成24年)同所 バイオマスリファイナリー研究センター(広島県東広島市)
セルロース利用チーム 研究チーム長
2015年 (平成27年)組織改編により
国立研究開発法人 産業技術総合研究所
機能化学研究部門 セルロース材料グループ 研究グループ長
現在に至る。

◆専門分野
セルロース化学,高分子化学,天然物有機化学,木材化学

◆研究テーマ
・セルロース等バイオマスの微粒子化技術
・木質バイオマス系プラスチック複合成形材料
・バイオエタノール製造のための酵素糖化前処理技術
・セルロースナノファイバー製造・利活用技術

◆受賞歴等
2000年(平成12年) 科学技術庁第59回注目発明選定
2001年(平成13年) セルロース学会奨励賞
2014年(平成26年) セルロース学会賞

◆学会活動等
ナノセルロースフォーラム副会長,セルロース学会理事・関西支部長,
高分子学会中国四国支部幹事(~2015),木材学会中国四国支部理事,
紙パルプ技術協会木材科学委員,日本木材加工技術協会木材・プラスチック複合材部会研究企画委員

◆連絡先
〒739-0046
広島県東広島市鏡山3-11-32
TEL&FAX : 082-420-8278, E-mail : t-endo@aist.go.jp
セルロース材料グループ

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