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走査型電子顕微鏡(SEM)による材料の評価

テクニカルレポート 2018.06.27

走査型電子顕微鏡(SEM)による材料の評価

粉砕および、分散前後のサンプルを画像で確認することで、サンプルがどの程度の大きさまで粉砕できたか、またはどのように分散できたかを確認をします。電子顕微鏡の種類はいくつかありますが、弊社では走査型電子顕微鏡を使用しております。

電子顕微鏡とは

一般の光学顕微鏡では、観察したい対象に光を当てて拡大するのに対し、光の代わりに電子線(電子)を当てて拡大する顕微鏡のことです。電子顕微鏡は、種類で大別すると走査型電子顕微鏡(SEM)と透過型電子顕微鏡(TEM)に区別され、弊社では、走査型電子顕微鏡(SEM)を使用しております。

走査型電子顕微鏡(SEM)と透過型電子顕微鏡(TEM)

走査型電子顕微鏡 (Scanning Electron Microscope:SEM)

細く絞った電子線を試料表面で走査(スキャン)させ、そこから跳ね返ってきた電子を検知することで像を得る顕微鏡です。表面の凹凸の様子や、二次電子を用いることで、表面に近い内部構造を観察することにも優れています。 ただし、電子線の広がりがあるため、TEMほど高倍率(高分解能)の観察はできず、また得られる情報も試料表面近くに限定されます。

透過型電子顕微鏡 (Transmission Electron Microscope:TEM)

試料中を透過させた電子を、蛍光板やCCDカメラに投射することで像を得る顕微鏡です。透過した電子を用いるため、試料内部の構造が分かること、より高い分解能が得られるといった利点があります。ただし試料中を電子線を透過させるため、試料を薄くさせること、より高電圧、高真空にする必要があり、機器自体もSEMに比べ高額、大型となります。

走査型電子顕微鏡(SEM)による粉砕、分散状況の確認

処理前後の原料を画像により確認することで、粉砕、分散の進行状況が確認できます。

事例① アルミナ : NP-100で粉砕

NP-100で粉砕したアルミナを観察しました。

アルミナ(NP-100で粉砕)

SEMを使用すると、レーザー回折粒度分布測定器(当社設備)の結果との比較や、粒度分布測定では分からない粒子形状などの確認が可能です。SEMで観察を行う試料は乾燥させる必要があります。そのため、湿式粉砕後のサンプルは、乾燥凝集した状態で観察されます。

【参考】「粒度分布計による粉砕物の粒度評価法」

事例② カーボンナノチューブ(CNT) : PR-1で分散

PR-1で分散を行う前後のカーボンナノチューブ(CNT)の観察です。

CNTにはNC7000(Nanocyl?)、Flotube9000(Cnano?)を使用しました。CNTは炭素でできた非常に細長い円筒形の物質です。通常、CNTは分子間力によって凝集した状態で存在しており、CNTの性能を発揮させるためには、凝集を解く(分散させる)必要があります。
また、CNTは細長い形状のため、粒度分布測定は困難です。SEMで観察することで、分散状態を確認することが可能です。

NC7000 (Nanocyl?)

Flotube9000 (Cnano?)

CNT(PR-1で分散)2

シンキーアプリケーションラボでの測定方法

1) 粉砕品スラリーまたは、分散液を用意する。
2) 乾燥で除去されない材料が含まれる場合、遠心分離などにより除去する。※1
3) 金属箔上に液滴で滴下
4) 液滴の水分(溶媒)を除去(乾燥)※2
5) 金属箔をカットしてSEM試料台へ張り付ける。
6) 試料に導電性が無い場合、チャージアップ現象を防ぐためのスパッタを行う。
7) 観察

※1 観察材料が被覆され、観察できなくなるため。
※2 乾燥時に乾燥凝集が発生する場合がある。

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