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ユーザーインタビュー~産業技術総合研究所 岡田様~

2017/09/20

インタビュー

ユーザーインタビュー~産業技術総合研究所 岡田様~

産業技術総合研究所(産総研)は、産業技術の幅広い分野におけるさまざまな技術開発を総合的に行っている、言わずと知れた日本最大級の研究機関ですが、今回はその産総研で爆発に関する研究を行っている岡田先生に興味深いお話を伺いました。CNFのお話も出てきますよ。ご期待ください。

1.まずは、ご専門の爆発の研究についてお聞きしたいと思います。爆発事故の原因究明などをされていらっしゃいますが、きっかけは何だったのでしょう?

大学の学部では金属工学、修士・博士で原子核工学を専攻したのですが、博士論文の指導教官から放射性廃棄物の発火・爆発実験の原因究明も行うようアドバイスがあり、1997年の動力炉・核燃料開発事業団(現・国立研究開発法人日本原子力研究開発機構)東海事業所アスファルト固化処理施設の爆発事故の原因究明に取り組みました。当時は、原子力関連施設での大きな事故が続いていました。産総研に入所後は企業からの依頼による爆発事故の原因究明も手掛けています。経産省が管轄する火薬類取締法の基礎となるデータを提供するのも我々の重要なミッションです。

ある工場の爆発事故では、想定より大きな爆風が出ました。この位の火薬の量ならこの位の爆風が出るという想定より多い爆風が出たことが、被害状況からわかったのです。そこで、実験を行った結果、金属容器が燃えてその分のエネルギーが放出されたことが原因だと推定できたので、それを受けて、容器には配慮が必要であるという方針が法律にも反映されました。

2.実際にこちらで再現実験をされるのですか?

そうです。実験用の爆発ピットがあるので、最大2.5kgまでは常時、爆発実験ができます。上記の実際の爆発事故は、当然もっと火薬の量が多かったのですが、基本的には小スケールで実験して推定します。大規模実験も時々、自衛隊の演習場といった外部施設で行います。

爆発実験ピット内での岡田先生
 

3.爆発事故の原因究明に必要な要素は何でしょうか?

先を読む力でしょうか。将棋のように、これをやるとこうなるだろうというシナリオを作って実験をやります。

4.仮説を立てるのですね。

そうですね。それでうまくいかない時もありますけどね。大体、爆発事故というのは証拠が残らないのです。原因となる物質も分解していたりするので、何と何が反応したのかもよくわからない。水素が爆発したのか、別の物質が爆発したのかすらもわかりません。従って、この実験をやって爆発しなかったけど、これをやったら再現したという場合、断定はできないけれど、限りなくこれが原因であろうという結論を導いています。

5.全く証拠がない中で、原因究明をしていくのは大変ですね。

そうですね。五感を研ぎすませて、原因究明を行う必要があります。我々は経産省の傘下の研究開発法人なので、企業を応援する立場にあります。事故で困っている人をサポートするのが役割なので、事故が起きた時に、それをやめてくださいというのではなく、爆発リスクがあってもここを改善すれば大丈夫ですよ、というスタンスで仕事をしています。

6.それは心強いですね。最近、爆発事故が増えている気がしますが、これは技術の伝承の問題とも関係しているのでしょうか?

それは一つの要素としてあると思います。マニュアルに載らない安全技術というのが色々あって、経験を積んだ方が辞めてしまうと、やってはいけないことを知らずにやって爆発してしまうというのはあります。技術伝承ができていないが故に事故が起こるという例は山ほどあると思います。それと一般的に、機械やプラントを止めて清掃をする時や、再稼働したりするような非定常操作時は危ないですね。

また、厚生労働科研費をいただいて、大学の先生らと「安全文化や労働者の安全意識」の研究もしています。イギリスなどは、労働安全衛生に関する、安全管理などの研究がとても盛んです。安全研究は奥が深くて、我々が主に取り組んでいるような物質安全からトップダウンで安全を進めるリスクアセスメントの研究など幅広いですね。

7.爆発を研究されていて、怖さはないですか?

実験は、基本的には、怖いので慎重に行います。でも、爆発性物質の性質もピンキリなんですよ。例えば、TNT(トリニトロトルエン)という爆薬は普通の人は怖いと思いますが、トンカチで叩いても容易には爆発しないので、実はすごく安全なのです。でも、蚊が止まっただけでも爆発する物質もあります。一番厄介なのは、感度が高くて有害性が高いものですね。アジ化水素などがそうなのですが、ちょっとでも吸ったらまずいですし、感度も高いので、かなり気を使います。基本的にその物質の素性を把握して取り扱えばそんなに怖くはありません。99%のものは怖くないです。素性がわからないものは怖いので、その場合は極少量で取り扱うとか、完全防護で臨むなどして対応します。

8.実験用の水槽があるのですね。

元々は、爆薬の威力を精密に測定するために、水中爆発という実験施設があります。我々の業務を理解いただき、安全に爆発の威力を体感していただくために、水中爆発試験の実演をすることがあります。爆発を体感してもらうと、少量の爆薬でも威力が大きいことがすぐ理解できます。正しく起爆するかどうか、また、事故が起きないよう細心の注意を払って準備をしています。

水中爆発実験用の水槽

9.さて、岡田先生は、火薬の知識を生かして、セルロースナノファイバーの実用化研究をされていますね。

はい。実は煙の出ない花火を作るための基礎研究をしています。大砲の玉は無煙火薬を使いますが、花火は黒色火薬という煙が出る火薬を使うので、現状、花火大会ではものすごく煙が出ます。あの煙をどうにかして、煙の出ない付加価値の高い花火を作れないかと考えています。産総研では昨今、「目的基礎研究から橋渡しへ」という方針を掲げていて、将来的に世の中の役に立つ研究に力を入れています。そういった視点で、テーマパークなどで打ち上げる花火を煙の少ないものにできないかと考えました。火薬の原料でもあり、塗料や医薬品にも使われるニトロセルロース(NC)は、打ち上げ用の火薬としては、どうしても性能が低く、現状では使えなさそうな状況です。そこで、燃焼速度向上が期待できるセルロースナノファイバー(CNF)で火薬を作ってみたいと思いつきました。CNFをニトロ化(硝酸エステル化)することでできるニトロセルロースナノファイバー(NCNF)が合成出来るかどうか取り組んでいます。きっかけは、3年前に、人事や企画・運営を学ぶために企画室というところに出向したことでした。

産総研では、研究者も基本的に全員こういった1年間の出向が推奨されており、人事や予算の動きといった研究企画を担当する機会が与えられます。私は環境エネルギー分野の企画主幹として、たまたまCNFの権威の一人である産総研中国センター(広島)の遠藤貴士グループ長のユニットの担当になったのです。CNFで火薬を作る研究をしている人がいるか相談したところ、そんな人はいないとのことだったので、未開拓の研究課題として、取り組んでみることにしました、そのCNFに混酸(硫酸と硝酸の混合液)を混ぜてニトロ化する際に、あわとり練太郎 ARE-310を使っています。CNF+混酸はゲル状なので、混合が難しいのですが、このミキサーでは可能でした。

セルロースナノファイバー(CNF)のニトロ化工程(45分)

NCNF合成手順

乾燥させたCNF ふわふわの状態になります

ニトロセルロースナノファイバー(NCNF)は比表面積が大きいので、ニトロセルロース(NC)に比べ、燃焼速度も3倍位になります。それと、ニトロセルロースは熱安定性が悪く、2年前の南京の爆発事故はニトロセルロースの自然発火と言われています。繊維を細くすることによって、熱安定性に影響があることを懸念しましたが、実験の結果はニトロセルロースと同等でした。

尚、打ち上げ花火は紙(玉皮)に入っていて、それをドーンと打ち上げると上空で開くのですが、その後、その紙は地上に落下しますので、翌日にゴミとして拾わなければなりません。それは結構な量になります。テーマパークなど向けにNCNFで燃え尽きるタイプ(焼尽型)の玉皮が作れたらとも思っています。

既に特許は申請済みで、次に民間の企業と共同研究で火薬を作っていければというところです。道のりはとても険しいですが、将来的に形になればいいですね。

普段なかなか聞けない話や夢が広がるお話、ありがとうございました。
無風状態でも煙の出ない花火ができれば面白いですね!


<岡田 賢様 略歴>
2000年 3月  東京工業大学 理工学研究科 原子核工学専攻 博士(工学)
2000年 4月  工業技術院 物質工学工業技術研究所 入所
2001年 4月  産業技術総合研究所に改組
2009年 10月  産総研主任研究員

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