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君の名は、粉砕ナノ太郎。~NP-100開発経緯

2020/01/22

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君の名は、粉砕ナノ太郎。~NP-100開発経緯

シンキーの製品で圧倒的な知名度の高さを誇る「あわとり練太郎」。
その、あわとり練太郎ユーザーの方々から「その名前、もうちょっと工夫できなかったの?」と冗談交じりに突っ込んでいただくことが多いのが「粉砕ナノ太郎」。

今回は、粉砕ナノ太郎が開発された経緯について、お話しさせていただきます。

きっかけは新薬開発のための懸濁液調整

開発のきっかけは、シンキーの技術顧問である橋本氏が、前職の大手製薬メーカー在籍時に考案した、あわとり練太郎による新薬開発のための懸濁液調製でした。

橋本氏から、「良い薬を開発し社会に貢献したい、そのためには水に溶けにくい薬物を【ナノ化で可溶させること】が必要で、もっと強力な練太郎を作ってもらえないか」とリクエストを受けたことから、粒子のナノ化ができる装置の開発に取り組み始めました。

基本的なことは橋本氏による懸濁調製で既に確立していたため、当初は既存の練太郎の延長線上でナノ化を容易に実現出来ると考えていましたが、それでは難しいと徐々に気づき始めました。

温度管理の課題のヒントは、間違えてコーヒーに入れたミルク

問題の一つは、材料の温度管理でした。ナノ化するために、練太郎を通常より高速回転させる必要があったのですが、容器の中で粉砕用メディアが高速で動くことで、あっという間に高温になってしまうのです。これでは機械が壊れてしまうばかりか、材料が変質して薬効を失ってしまいます。逆に回転スピードを落とすと温度上昇は抑えられますが、材料が十分に粉砕されません。

冷却器メーカーにも相談しましたが、回転体を冷却した前例がないということで、上手い方法を見つけることが出来ませんでした。やむを得ず、当初橋本氏の実験室にあった遠心分離機の冷却器を参考に、練太郎に冷凍機を組み込むことを考え始めました。試作した冷凍機の電源を入れると、内部の温度がすぐに下がり始めたので一瞬喜びましたが、材料まではほとんど冷えませんでした。

そもそも遠心分離機の冷凍機は、発熱しないバイオサンプルなどを対象としているため、今回のような発熱源がある場合を想定していません。冷凍機の性能を上げると多少の変化はありましたが、期待には遠く及びませんでした。本来なら熱交換に効率の良い水などを使いたいところですが、回転する部分にそれを入れるわけにもいきません。加えて材料が入った容器が一種の断熱材のようになっていたため、発生した熱を上手く外へ伝えることも出来ません。この冷却方法では限界があると、次第にあきらめムードが漂い始めました。

coffee

そんなある日、同僚と喫茶店へ行く機会がありました。いつもはブラックコーヒーを飲むのですが、間違えてミルクを入れてしまったその時です。コーヒーの中に出来たミルクの渦にスプーンを入れると、渦が壊れて一瞬でミルクが拡散されました。この瞬間のミルクの動きが、機械の中で冷えた空気のように見え、「これは使える!?」とひらめいたのです。

機械の中で冷えた空気は、回転体と一緒に回転し、渦を形成しているはずです。この渦にスプーンのような障害物を入れたら、拡散され、もっと冷却されるのではないかと思ったのです。早速、障害物を試作して温度を確認すると、以前とは比べ物にならないほど冷えていました。適切な障害物の形、大きさ、数を検証して設計したところ、粉砕に十分な冷却性能が得られ、後にこの冷却方法については特許を取得することが出来ました。

NP-100_chamber
チャンバー雰囲気は-20℃まで冷却されます。

なかなか目標の粒子径に到達しない・・・

もう一つの課題は、到達粒子径でした。当初は、回転数を上げれば可能だと考えていたのですが、1μmを切ったあたりから、中々それ以上小さく粉砕が進みません。メディアの数や大きさ、溶媒、条件を振って、時間をかければ小さくなりましたが、目標粒子径には全く届かず、大きさも不揃いでした。

しかしそんな中、たまに良い実験結果が得られることがありました。再現性がないため、最初は実験誤差だと思っていたのですが、容器底角が筋のように削れている時に限って、そのような結果が表れることに気づいたのです。

粉砕メディアや材料がこの細い溝を通ることで粉砕が進み、良い結果が出るのではないかという仮説をもとに、容器の形状を変える(※)ことで粉砕粒度を高めることを思いつきました。試作して実験してみると、ナノ化された証であるきれいなピークが出たのです。条件を揃えると、数分で100nm程度の大きさになり、しかも結晶性を損なわずに粉砕できました。

自転・公転ナノ粉砕機「NP-100」の誕生です。

(※)実際の形状は、展示会ブース、デモなどで、御覧ください。

funsaizu
自転・公転+容器の形状ででナノ粉砕が可能に。

本製品の完成までは、大変長い期間を要しました。社内の人間ばかりでなく、橋本氏を初め、業界の多くの方々が支えてくださったおかげです。
今日では新薬開発にとどまらず、電子材料や電池材料に代表されるような新素材開発にも活用され、粉砕ナノ太郎NP-100が、このような形で皆様のお役に立てることを、大変嬉しく思っております。

なお、粉砕ナノ太郎による粉砕の原理や特徴の詳細は、
【粉砕とは <2> ~粉砕の方式と粉砕機~】をご参照ください。


おまけ:粉砕ナノ太郎、君の名を名付けた経緯。

粉砕ナノ太郎は発売から数年間、機種名の「NP-100」と呼ばれていました。後に開発された分散ナノ太郎(PR-1)の愛称を決める際、同時に検討されました。

ちなみに候補に挙がっていたのは……
「フンさん、ブンさん」(NP-100とPR-1のペアのイメージ)
「ナノこなごな、ナノばらばら」(粉砕と分散を擬音にしたイメージ)

などでしたが、会議に参加した社員が口々に「やはり”太郎”は外せないのではないか?」「”太郎”が入らないとしっくりこない」と言ったとか言わなかったとか……。

そこで出たのが、
「砕太郎、散太郎」
しかし……これでは「ナノ」になることが伝わらないのでは?!

からの……
「粉砕ナノ太郎、分散ナノ太郎」

に落ち着いたのでした。
展示会で新しい名前をお披露目した際、ある練太郎ユーザー様からは、「どうして花子にしなかったのか」というツッコミをいただいたことも、今ではいい思い出です。

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